曜変天目 茶碗のなかの宇宙
わたしの本名は曜子。
曜日の曜に子どもの子はめずらしい。
というのは前に書いた。

曜という字は、星の瞬きや輝きを意味する。
知りあいから、見た方が良いと国宝「曜変天目茶碗」のことを聞いた時、
自分の名前と同じその文字にもひかれ、絶対観に行かなきゃと思った。

天目茶碗は中国の南宋時代に作られた茶碗で、
鎌倉時代、日本から留学した禅僧がお茶の習慣とともに持ち帰った。
黒い釉薬のかかった茶碗で、なかでも曜変とつくものは最高とされ、
現存するのは世界に3つ、そのすべてが日本にあり国宝に指定されている。
現代の技術では復元できない貴重なもの。

この3点の曜変天目のなかでも、とくに最高品とされる稲葉天目が、
徳川将軍家からその後三井財閥の岩崎小弥太の手に渡り
二子玉川の静嘉堂文庫美術館に所蔵されている。

曜変天目、奇跡のように小さな茶碗のなかにすっぽりと
不思議な色彩を放って宇宙が浮かび上がる。
2〜3年に一度、数週間だけ公開される。
http://www.seikado.or.jp/



二子玉川からバスに少し乗って、
自然の残る静かな広い敷地になかにある静嘉堂文庫は、
行くだけでもゆったりした気持ちになれる。
茶碗のほかに、大名物の茶入や、 利休作の茶道具などが展示されている。
唐物茄子茶入は、 歴代将軍、足利義満から
信長〜秀吉〜家康の手に渡ってきたもので、
重々しく立派な箱と毛筆の但し書きが一緒に展示してある、
ちょこんと小さく丸っこくて黒々と光ってかわいらしいこの茶入のために
きっと幾人もの戦国武士たちの血が流されたのだと思いを巡らせたが、
目の前にあるのは、
わびさびのセンスが光る虫食い跡入り象牙蓋がのった、
やっぱりちょこんと可愛らしい、
コロッとした小茄子のかたちの茶入なのであった。

目利きでもなければ茶道具のことなんてなにもわからなくても、
それでも、国宝級のものや、利休や織部、遠州など、
歴代の茶人たちの作品は一見の価値がある。
精神、心意気を見事にかたちに表現した先人たち。
見かけじゃない、見えないものが大事と日頃思うことも多いけど、
侘び寂びという心の、見えない価値観を、見事にかたちにしている。
偶然性をとりいれ、歪みや虫食い跡やひび割れを美しく見立ててとりいれる。
こういった精神が昔から根付いてきた日本において、
前衛的なものや、即興音楽などになじんだり親しむこと、
は、ごく自然な流れのことのような気がする。

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by koharu-ya | 2010-03-16 16:54 | 徒然 | Comments(0)
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